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クィアフェムによる恋愛ZINE 

4人のクィアフェム(水上文、近藤銀河、中村香住、瀬川貴音)による恋愛をテーマとしたZINEです。2024年5月19日(日)文学フリマ他で頒布予定です。

目次

 1 はじめに 水上文

 2 クィアフェムの大恋愛座談会 水上文、近藤銀河、瀬川貴音、中村香住
  ・自己紹介――セクシュアリティの気づきとアイデンティティ
  ・クィアの出会いと惹かれ
  ・クィアフェムにとって男性とのセックスとは?
  ・自由なセックスとマイノリティ性
  ・そもそも「恋愛」とは?――恋愛/友情の境界
  ・なぜ「恋人」になりたいのか?
  ・制度的排除とクィアの恋愛
  ・異性愛に対する屈託
  ・もしも同性婚ができるようになったら?
  ・軽視と自由の狭間で
  ・女性同士の恋愛における「対等」幻想
  ・レズビアン界隈におけるネオリベラリズムとマッチョイズム
  ・女性同士のカジュアルセックスの困難
  ・レズビアン界隈のタチ/ネコ、ボイ/フェム規範
  ・差異と連続性――クィアの恋愛を語るために

 3 エッセイ
  ・フェムをめぐる断想 水上文
  ・恋愛物語から遠く離れるために 近藤銀河
  ・恋愛嫌いにとっての「恋愛」再考 瀬川貴音
  ・クワロマンティックな私が、それでも「彼女ほしい」と感じる瞬間 中村香住

はじめに

このZINEは、クィアフェムである私たちにとっての「恋愛」をめぐる一冊である。

私たち――水上文、近藤銀河、中村香住、瀬川貴音の四人――はそれぞれ様々に異なっているけれど、私たちみんなに共通する点がある。それは、私たちがみんなクィアのフェムで、シスジェンダーのヘテロセクシュアルが中心の社会で流通する「恋愛」とは異なる経験をしていること、シスヘテロではない「恋愛」の話を求めていることである。

このZINEは、そんな四人が集まって作られたものである。

クィアの恋愛をめぐる様々なテーマについて、四人で大いに語り合う座談会と、各自のアイデンティティや恋愛をめぐるエッセイが収録されている。そこにあるのはすべて、なかなか他で見つけることのできなかった「私たち」の物語である。

私たちは、シスヘテロではない「恋愛」の話を求めていた。

シスヘテロであれば特段意識されもしない重要なことは、実際たくさんあるのだ。

たとえばクィアにとっての「恋愛」の経験は、セクシュアリティの気づきやアイデンティティの形成と不可分に結びついている。私たちは「恋愛」の話をすると同時に、自らのアイデンティティについても考えなければならない。

セックスや欲望の話も重要だ。私たち自身の話としても大切だけど、それだけでもない。女性の性的主体性を軽んじ、異性愛のセックスが規範化される社会で、私たちはどんな欲望を抱き、どんなセックスをしたいと望むだろう?

もちろん、クィアの恋愛には、異性愛が前提になった社会で、制度的に排除され、偏見にさらされているという特有の困難がある。出会いの困難、恋愛関係の困難、異性愛規範との格闘、コミュニティでまかり通る規範意識に対する違和感。シスヘテロの恋愛では存在しない、様々な障壁が私たちの前には立ちはだかっている。

けれども同時に、クィアだからこその喜びが、自由と創造性があることも確かである。

異性愛規範を、恋愛規範や性愛規範を相対化する視点を得られる側面があること。すでにある物語から排除されているからこそ、むしろ個々人の望む関係性、欲望を、自分たちの物語を自分たち自身で創り上げていけること。

困難も自由も、喜びも悲しみも、屈託も幸福もすべてが「私たち」のリアリティだ。

他ならない私たちのリアリティを掬い取る一冊――シスヘテロの恋愛ではなくて、言い訳程度にクィアに触れたものでもなくて、自分によく似た人々が出てくる一冊。そういう一冊が欲しかったのだ。でも見当たらない。なら、私たち自身で作ってしまえばいいのだ。そうして出来上がった一冊こそ、このZINEなのである。


水上文


頒布情報
2024年5月19日(日) 文学フリマ東京にて頒布

2024年5月20日(月)以降順次、以下の書店委託販売予定

◇SPBS様
https://www.shibuyabooks.co.jp/
◇本屋lighthouse様
https://books-lighthouse.com/
◇本屋メガホン様
https://booksmegafon.stores.jp/
◇本と喫茶 サッフォー様
https://bookcafe-sappho.com/
◇エトセトラブックス様
https://etcbooks.co.jp/
◇Readin' Writin' BOOKSTORE様
http://readinwritin.net/

2024年6月8日(土) NOISY ZINE & BOOKにて頒布

お詫びと訂正

現在頒布しているZINEの以下のページに誤りがありましたので、お知らせします。
すでにご購入くださった皆様、大変申し訳ございません。心からお詫び申し上げます。

【誤①】3ページ下段落2行目の以下の文章について、取り消し線部分が誤って挿入されております。
物語の内容自体はあんまり覚えてないんだけど、突然男と男がキスするシーンがあっことをすごく考えて、頭の中が『女』でいっぱいになって、この頃フェミニストとしてのアイデンティティも確立された(笑)。ただ当時付き合っていた人と別れた後は、恋愛そのて、それを目にした時の衝撃は今でも覚えてる。わあなんだろうこれ、って。今まで見たことのないものだったから、すごく衝撃を受けて、でもすごく惹きつけられている自分がいて、いったいなんなんだろうと思っているうちに中学生になってBL文化に出会ったの。
【正①】上記の部分、正しくは以下になります。
物語の内容自体はあんまり覚えてないんだけど、突然男と男がキスするシーンがあって、それを目にした時の衝撃は今でも覚えてる。わあなんだろうこれ、って。今まで見たことのないものだったから、すごく衝撃を受けて、でもすごく惹きつけられている自分がいて、いったいなんなんだろうと思っているうちに中学生になってBL文化に出会ったの。

【正誤②】4ページ上段落11行目の以下の文章について、下線部分が欠落しております。
私は女として女が好きなんだ、ということをすごく考えて、頭の中が『女』でいっぱいになって、この頃フェミニストとしてのアイデンティティも確立された(笑)。ただ当時付き合っていた人と別れた後は、恋愛そのものにポジティブなイメージが抱けなくなっていて、新しい恋人が欲しいみたいな気持ちも消えちゃって。
メンバー:水上文、近藤銀河、中村香住、瀬川貴音
連絡先:queerfemme.zine★gmail.com(★→@)